竹内幸次のコラム

中小企業診断士の竹内幸次です。これから中小企業の成長ヒントになる記事を連載します。

まずはこの数値。

「99.7%」

何の数値だと思いますか?実はこの数値は日本の中小企業の割合です(非1次産業計)。資本金3億円以下、従業員数300人以下の規模の企業のことを日本では「中小企業」と法律定義します(製造業の場合)。日本企業421万企業のうち、100%近くが中小企業なのですね。

つまり、中小企業が成長すれば、日本の経済も成長すると言っても過言ではないのです。日本の経営は間違いなく中小企業が支えています。中小企業が動き出し、未来志向でイノベーション(革新)することは、まさに日本(世界から見ればNIPPON)を動かすことになるのですね。


オペレーションよりもイノベーション経営を!

商品面、生産技術面、組織面等、色々なイノベーションがありますが、すべてのイノベーションに共通することがあります。それは「新しいことへ挑戦する」ということ。

経営は、オペレーション(運営)がとても重要ですが、それよりも増して、現在の閉塞感ある日本ではイノベーションが必要なのです。

・オペレーションとは既存の経営の仕組みを上手く運営して、高い効率を求めること。短期的な売上高や利益は増えるが、抜本的な競争力がアップする訳ではない。

イノベーションとは自社が行ってこなかった新しい事柄へ挑戦すること。投資が伴うことがあるため短期的にはキャッシュフローが悪化し失敗のリスクも生じるが、長期的には事業領域の拡大、新規顧客層の獲得等により競争力が飛躍的にアップする。

中小企業の皆さん、オペレーション(短期経営)のみに着目して、イノベーション(長期経営)を忘れていませんか?景気が悪いからと言って未来投資を忘れていませんか?そもそも景気は我々企業が作り出す主体の1つであるのに、必要以上に景気に受動的な意識をもってしまっていませんか?

自社にとって新しい事柄へ挑戦することは、実は経営活動そのものです。時代が変われば必ず経営チャンスはあるものです。その時代の変化が産業にとって好ましい変化でも、好ましくない変化でも変化ある限り経営チャンスがあるのです。


中小企業のイノベーションのきっかけ

では中小企業がイノベーションは、何がきっかけになるのかを整理してみましょう。

【外部的なきっかけ】
・法律や規制の変化(強化も緩和も)
・新しい原料や素材や技術の開発(多国や他産業での開発)
・急激な景気の変化(好転も悪化も)
・急激な為替相場の変化
・主要な取引先の倒産や海外移転
・金融機関の融資姿勢の変化
・中小企業支援策(補助金や税制や相談制度等)の創設(「資金調達ナビ」は中小企業が資金調達する際の情報が満載です!http://j-net21.smrj.go.jp/srch/navi/index.jsp

【内部的なきっかけ】
・偶発的な生産活動(配合割合を間違えた等のミスから思いもよらない発見がある等)
・偶発的な販売活動(従業員が書いているツイッターから顧客のネット購買意欲が高いことが判明した等)
・恒常的な研究開発等
・従業員からの提案
・組織体制の変化(製品別の事業部制を廃止して、顧客別の事業部制に改編する等)
・Webマーケティング(ホームページやブログやツイッターの活用)によって、従来にない新しい客層との接点の増加

如何ですか?上記例示を見ると、自社内にもイノベーションのきっかけが沢山あることに気づかれたと思います。